生活習慣病を予防するトマトの“リコピン”

トマトに多く含まれ、強力な抗酸化作用を発揮

成澤 富雄 著 2003.02.14 発行
ISBN 4-89295-449-7 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


リコピンを摂りやすい料理法

生活習慣病を予防するトマトの“リコピン”

リコピンは油に溶けやすい
ピンク系トマトは、もちろん生で食べておいしいので、野菜サラダなどに適した種類です。しかし、実際のところ、生ではそれほどの分量は食べられませんし、まして、毎日のこととなると何らかの工夫をしなければ飽きてしまうことでしょう。
そこで、トマトを使った料理に挑戦してみることをお勧めします。トマト料理というとレストランなどでは食べても、家庭では普段はあまりつくらない人のほうが多いかもしれませんが、料理本などを参考に、出来上がりを期待しながらつくってみるのも意外に楽しいものです。
トマト料理を実際につくる場合、知っておくと大変役立つのは、リコピンは油に溶けやすい性質であるという点です。
リコピンは、私たちの体内で油に溶けて吸収されます。したがって、トマト料理に油を取り入れることで、リコピンの吸収率を高めることができます。
トマト料理の本場といえばイタリアですが、そのイタリアにおいては、トマトとオリーブオイルを組み合わせた料理がたくさんあります。この取り合わせは、リコピンを効率良く摂取するには理想的ともいえるもので、イタリア料理の非常に優れた点です。
ほかの取り合わせの例では、トマトと牛乳を一緒に摂るとリコピンの吸収率が高まる、という研究報告もあります。この効果は牛乳の脂肪分によるものです。
牛乳を摂れば、日本人に多いカルシウム不足も同時に改善できる点を考え合わせると、この例は注目に値するといえるでしょう。
トマト料理をつくる際には、ぜひ油を使って調理することをお勧めします。

熱に強いリコピン
イタリア人は日本人の10倍の量のトマトを食べていますが、これほどの量を毎日摂るには生では無理なので、料理に使用して食べているわけです。
その場合に心配なのは、トマトを加熱し調理したらリコピンの含有量が減ってしまうのではないか、ということです。いくらイタリア料理がおいしくても、肝心のリコピンの量が減少してしまったら何にもなりません。
しかし、その心配はいりません。リコピンは熱に強いという性質を持っているので、加熱調理してもその含有量はほとんど変化しません。それどころか、かえって料理することで、トマトの細胞が壊れてリコピンが吸収されやすくなるというメリットがあります。
また、料理することで生の時よりもトマトのかさが減るため、生よりも何倍もの量のトマトを食べることができるようになります。その結果として、より多くのリコピンの摂取が可能となります。
このように、トマトを料理して食べることには、いくつものメリットがあるのです。


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