生活習慣病を予防するトマトの“リコピン”

トマトに多く含まれ、強力な抗酸化作用を発揮

成澤 富雄 著 2003.02.14 発行
ISBN 4-89295-449-7 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


加工品やサプリメントを利用する

生活習慣病を予防するトマトの“リコピン”

トマトの加工品にはリコピンが多い
生で食べるよりも料理して食べたほうがトマトのリコピンを効率的に摂取できると述べましたが、トマトの加工品を利用すればさらに手軽で便利にリコピンを摂取できます。
トマトの主な加工品には、トマトジュース、トマトソース、トマトケチャップ、トマトピューレ、トマトペースト、ホールトマトなどがあります。
これらの加工品の製造に使用される赤系トマトには、41頁のグラフから分かるように、ピンク系トマトの2〜3倍のリコピンが含まれています。
このリコピンを多く含む赤系トマトを加工処理し、いわば濃縮した状態のものが加工品ですから、ピンク系トマトよりもはるかに多量のリコピンを含んでいます。

1日15ミリグラムのリコピン
リコピンの1日の最低必要量は15ミリグラムですが、これを「桃太郎」などで摂ろうとすると、250グラムくらいの大きいサイズのものを2個食べなければなりません。
また、喫煙する人やストレスを受けやすい人などの場合は、リコピンの摂取量を30ミリグラムくらいに増やすのが望ましいので、これ以上の個数を食べる必要があります。
これを毎日、続けるのは並大抵ではありません。
その点、加工品なら、それほど多い量を摂らなくても、もっと楽にリコピンを摂取できます。しかも、加工の過程でトマトの細胞が壊されているため、リコピンの吸収率が高まるという利点もあります。
市販の各商品間で違いはあるものの、たとえばトマトジュース150グラム、トマトケチャップ90グラム、トマトソース85グラム、トマトペースト30グラム、トマトピューレ90グラムをそれぞれ目安にして摂れば、概ね15ミリグラムのリコピンを摂取できると思われます。
しかし毎日、加工品ばかりでは飽きてしまいます。生のトマトと加工品を上手に組み合わせることで味に変化をもたせて、おいしく食べながら効率的にリコピンを摂取したいものです。

リコピン不足をサプリメントで補う
毎日の食事の中で、必要なだけの量のリコピンを摂取できれば理想的といえますが、現実にはなかなか難しい面もあります。トマト嫌いの人もいますし、仕事が忙しくてゆっくりと食事も摂れないという人もいます。リコピン不足になるケースは、この他いろいろとあるでしょう。
そのような場合には、リコピンのサプリメント(栄養補給剤)の利用も有効な方法といえます。さまざまなサプリメントが開発されているので、手軽にリコピンを補給できます。
ただし、用法・用量をしっかりと守って、過剰服用にならないように注意しなければなりません。トマト、トマト加工食品の摂取ではその心配はありません。
また、サプリメントだけでリコピンの必要量のすべてを賄おうとしないことも大切です。ついそうなりがちですが、あくまでも健康づくりの基本は、毎日の食事であることを忘れないようにしましょう。
すなわち、その他の多種多様な栄養成分と一緒に食事として摂取するように心がけることが肝要です。
こうしたことを心がけて用いれば、サプリメントの効果は非常に大きいといえます。


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