抗糖化・糖尿病対策に包接R−α−リポ酸

糖代謝を促進するR体α−リポ酸の包接化で効果アップ

寺尾 啓二・中野 正人 共著 2010.12.12 発行
ISBN 978-4-89295-811-3 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


二種類の光学異性体が存在

抗糖化・糖尿病対策に包接R−α−リポ酸

R体とS体の二種類
α―リポ酸には、R(+)―α―リポ酸(R体)と、S(−)―α―リポ酸(S体)という二種類の光学異性体(鏡像異性体)が存在することが知られています。
それぞれの分子構造は、ちょうど右手と左手のように、R体を鏡に映すとS体に見えるような関係にあり、こうしたものを光学異性体といいます。
光学異性体を持つ物質は、数多く存在します。L―カルニチンとD―カルニチンなどもその一例です。光学異性体間では、体内での働きが異なってきます。
先にα―リポ酸は体内で合成されると述べましたが、実は合成されているのはR体のみです。S体は天然には存在しません。
α―リポ酸を人工的に製造すると、R体五〇%、S体五〇%の化合物が出来上がります。これをラセミ体と呼びますが、現在ではこのラセミ体からのR体の単離が可能であり、R体だけをつくり出せるようになっています。

不安定なR(+)―α―リポ酸
このR体については、ラセミ体やS体と比較して抗糖化作用などにおいて、より大きな効果を期待できるという研究結果が数多く報告されています。それにもかかわらず、これまでR(+)―α―リポ酸のみを配合したサプリメントが日本で製造販売されることはありませんでした。
その理由は、R(+)―α―リポ酸が非常に“不安定な性質”の物質だからです。その詳細は第2章で述べますが、そうした不安定さのために極めて製品化が困難だったのです。したがって、医薬品や市販のα―リポ酸のサプリメントにはラセミ体が使用されているというのが現状です。
それに対して、アメリカではラセミ体だけでなくR(+)―α―リポ酸もサプリメントに使用されています。とはいっても、使われているのはR(+)―α―リポ酸そのものではなく、R(+)―α―リポ酸ナトリウム塩やマグネシウム塩です。これらの物質は、アメリカでは食品成分として認可されています。
R(+)―α―リポ酸ナトリウム塩は、R(+)―α―リポ酸に比べれば安定性が増します。しかし、それでもまだ十分とはいえません。


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