抗糖化・糖尿病対策に包接R−α−リポ酸

糖代謝を促進するR体α−リポ酸の包接化で効果アップ

寺尾 啓二・中野 正人 共著 2010.12.12 発行
ISBN 978-4-89295-811-3 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


注目される二つの薬理作用

抗糖化・糖尿病対策に包接R−α−リポ酸

抗酸化ネットワークを構築
もともと医薬品のα―リポ酸は、日本では二〇〇四年に食品に配合してよい成分として認可されました。
その薬理作用としては、まず「抗酸化作用」があげられます。生活習慣病や老化などの原因となる体内の過剰な活性酸素を速やかに消去する働きのことです。活性酸素は、ミトコンドリアでのエネルギー産生や喫煙、ストレス、紫外線、過激な運動、その他さまざまな原因で発生します。
α―リポ酸はそれ自身が抗酸化作用を発揮するだけでなく、ビタミンCやE、コエンザイムQ10、グルタチオン(体内で合成される抗酸化物質)といった他の抗酸化物質と相互作用による「抗酸化ネットワーク」を築き、そこで重要な働きもしています。一度、活性酸素を消去して抗酸化力を失ったこれらの抗酸化物質を再生し、またその作用を発揮できる状態に戻すのです。α―リポ酸自身は、自力で再生できます。
しかし、ここで重要なのが、還元型のジヒドロ体に効率よく変換されるα―リポ酸は、S体ではなくR(+)―α―リポ酸だということです。というのは、第3章(30頁)にも出てくるPDHという酵素複合体、その一つのリポアミド脱水素酵素に親和性の強いのはR(+)―α―リポ酸であり、この酵素反応によって抗酸化作用を持つジヒドロα―リポ酸に変換されるためです。

糖代謝促進による抗糖化作用
もう一つの薬理作用は、糖化反応(Glycation)を抑制する「抗糖化作用」です。糖化反応とは、グルコース(ブドウ糖)などの糖とタンパク質が非酵素的に結合する不可逆的反応のことで、糖とタンパク質との架橋(高分子化合物間などの化学的結合)や、AGEs(終末糖化産物Advanced Glycation End Products)の生成、蓄積などが起こります。
糖尿病の合併症のほか、さまざまな病気の発症や進行への関与が明らかになってきました。
糖代謝の異常で利用されない糖が増えると、糖化反応は起こりやすくなります。糖代謝の改善に役立つα―リポ酸は、糖化反応を抑制する有力な抗糖化物質の一つといえます。


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