ガン・成人病にβ−カロチン

酒・タバコ好き、野菜嫌いの救世主

高橋 敦子 著 1994.03.01 発行
ISBN 4-89295-330-X C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


とり過ぎても大丈夫なの?

ガン・成人病にβ−カロチン

とり過ぎると黄色くなるってホント?
「過ぎたるは及ばざるがごとし」とか、「薬も過ぎれば毒になる」などといわれるけれど、ベータカロチンの場合はどうなのでしょうか。
ベータカロチンは使いきれなかった分が体内に蓄積されます。では、毎日多めのベータカロチンをとっていたら、どんどん貯蓄量が増えて…。
しかし、そんな心配はいりません。ベータカロチンについては、とり過ぎても過剰症になる恐れはまったくないという研究結果が出ています。
いまの日本は飽食の時代といわれていますが、貧しくて食糧事情が悪かった時代がありました。
その当時、皮膚が黄色くなり、黄疸と誤診された人たちがありました。それは、カボチャやサツマイモの食べ過ぎが原因の「柑皮(かんぴ)症」または「カロチン皮膚症」と呼ばれる症状で、病気ではありませんでした。
この症状は、皮膚が黄色っぽくなるだけで、副作用もなければ害もありません。
カボチャやサツマイモの過食をやめれば、症状はすみやかになくなります。

ビタミンA過剰症とも無関係
ベータカロチンは体内でビタミンAに変化するため、ベータカロチンをとり過ぎたら「ビタミンA過剰症」を起こすのではないかと心配する人もいるでしょうが、これも心配はいりません。
通常、ベータカロチンは小腸で分解され、およそ三分の一がビタミンAに変わります。残りの三分の二はベータカロチンのまま小腸から吸収され、リンパ液や血液に乗って全身にいきわたります。
しかし、ビタミンAに変わる量が三分の一というのは、通常レベルでの目安に過ぎません。ベータカロチンをいくらたくさんとっても、一定の速度でしかビタミンAに変化しないのです。
つまり、ベータカロチンは体に必要な量のビタミンAを供給しながら、ビタミンA過剰症にならないように自己コントロールしてくれるというわけです。
誤解してはいけないのは、ベータカロチンだけ食べていればガンも成人病も心配なしと過信してしまうこと。あくまでも禁煙や節酒、適度な運動にバランスのとれた食事など、健康的な生活のベースがあってこそ、ベータカロチンも効果を発揮するのです。これだけは最後に強調しておくことにします。


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