ガン・成人病にβ−カロチン

酒・タバコ好き、野菜嫌いの救世主

高橋 敦子 著 1994.03.01 発行
ISBN 4-89295-330-X C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


ベータカロチン摂取量の目安

ガン・成人病にβ−カロチン

最低一日100グラムの緑黄色野菜
健康のためにはベータカロチンがどれくらい必要なのでしょうか。
栄養学者は「一日に野菜全体で300グラム、そのうちの100グラムは緑黄色野菜で」とすすめています。
どの緑黄色野菜が、100グラムでどれくらいのカサ(量)になるのか、自分の目で確かめておくと便利です。調理するときや食べるときの目安になります。
それが面倒な人は「半カップ」をだいたいの目安にすることもできます。「緑黄色野菜を半カップ、毎日食べること」と、覚えておくといいでしょう。
しかし、100グラムとか半カップの緑黄色野菜は、必要最低限の量だと考えてもらいたいのです。ベータカロチン効果を期待したいなら、より多く食べるように心がけましょう。

ガン予防には一日15ミリグラム
健康的な食生活という意味では、一日100グラムの緑黄色野菜という目安があります。
しかし、ガン予防や老化防止という大きな期待をかけるなら、一日15ミリグラムのベータカロチンは必要です。
カロチンの王様といわれるニンジンでも、100グラムあたりの含有量は7.3ミリグラムですから、倍の200グラムは必要という計算になります。
ひとまとめに緑黄色野菜と呼んでいますが、ベータカロチン含有量には大きなバラつきがあります。また、トマトやピーマンなど、ベータカロチンが少なくても、緑黄色野菜の仲間に入っているものもあります。
緑黄色野菜だけでなく、ワカメやコンブなどの海藻類にも、ベータカロチンは豊富に含まれています。緑黄色野菜が足りないときは海藻類で補えます。
このような知識があれば、心がけしだいでベータカロチンの補給ができます。

現代っ子はベータカロチン不足
最近の子供が好きなメニューは「オカアサンヤスメ」だそうです。
オムライス、カレーライス、アンパン、サンドイッチ、ヤキソバ、スパゲッティ、メダマヤキ。
これらの料理には、ほとんどベータカロチンが見当たりません。カレーライスにはニンジンが入っていますが、そのニンジンを残してしまう子供さえいます。
カボチャの煮物やホウレンソウのおひたしなど、昔ながらの和風料理は、子供に人気がありません。食卓には肉中心の洋風料理が並び、インスタント食品やファーストフードもよく利用されています。
どれをとっても、緑黄色野菜や海藻類はほとんどなく、ベータカロチンは少しも期待できません。
「でも、学校の給食があるから」
こんな母親が多いのには驚きます。たいていの子供は給食でも、きらいなものは残してしまいます。
成人病が子供にも現れています。ゆがんだ食生活が原因だという説もあります。これもベータカロチン不足の影響が大きいのではないでしょうか。
「それでも、うちの子は健康ですわ」
いまはそうかも知れません。しかし、子供たちの将来の健康を考えるなら、食生活の見直しが望まれます。

貯金ができるベータカロチン
ベータカロチンにはうれしい特質があります。一度にたくさんとった場合、使いきれなかった分は、体内で貯金されるのです。
ビタミンCなど水溶性のビタミンは、いくら多量にとっても、余った分は尿に溶けて排泄処分されます。ですから、毎日補給しなければなりません。
ところが、ベータカロチンは脂溶性のため、そのまま体内に残ってくれます。たとえ毎日とらなくても、三日分をいっぺんにとって、キープしておくことだって可能なわけです。
しかし、それでなくても現代人の食生活は野菜不足になりがち。何日分ものベータカロチンをまとめてとるなんて、とても無理な話です。
「毎日食べよう」とか「一日一回は食べよう」と強調されるのは、ベータカロチンを確実に補給するためには、習慣にしたほうが安心だからです。
いくら貯金ができるといっても、ベータカロチンには利子はつきません。どんどん消費され、すぐに目減りしてしまいます。
でも、残金ゼロにならないように、ベータカロチンを常に補給しておけば、最終的には「健康で長生き」というビッグな配当金がつくことでしょう。


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