驚異の抗酸化力トコトリエノール

万病のもと「活性酸素」を抑えるスーパービタミンE

矢澤 一良 著 2000.08.10 発行
ISBN 4-89295-409-8 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


トコトリエノールの化学構造

驚異の抗酸化力トコトリエノール

二重結合の違い
従来のビタミンE(トコフェロール)とトコトリエノールの違いはどこにあるのでしょうか。それは両者の化学構造の差によって知ることができます。
一見したところ、いずれも似たような構造をしていますが、トコトリエノールの場合は、炭素同士の二重結合が三ヵ所見られます。
この構造のわずかな違いが、効果・効用の面では大きな差となって現われてくるのです。

ビタミンEを上回る働き
では、二重結合が多いとどうなるのか。たとえば、ビタミンEは油に溶ける脂溶性ビタミンなので、体の中では細胞の膜(主成分はリン脂質)に多く存在しています。
ところが、トコトリエノールのように二重結合が三つもあると、細胞膜への馴染みがよくなる、つまり、より効果的に作用することになるのです。
とはいっても、トコトリエノールは、あくまでビタミンE類の一種なので、従来のビタミンEと同じ働きを持っています。しかし、構造上に違いがあるため、ビタミンEを超える働き、あるいは従来のビタミンEにはない特有の効能も期待されているのです。



トコトリエノールの作用
トコトリエノールの特有の作用について簡単に列挙すると、つぎのようになります。まず挙げられるのが、コレステロール低下作用です。
これは、HDL―コレステロール(善玉コレステロール)を下げることなく、血清コレステロールとLDL―コレステロール(悪玉コレステロール)のレベルを低下させるというものです。
また、動物モデルの実験で、抗ガン・腫瘍抑制作用のあることが認められました。人体に関する臨床例では、乳ガンの成長を抑制する作用のあることも報告されています。
さらには、アテローム性動脈硬化症に対する効果も、いくつかの実験によって示唆されています。
このようにさまざまな作用を持つトコトリエノールですが、現在、もっとも期待されているのが抗酸化作用です。
抗酸化作用はビタミンE類に共通する特長ですが、従来のビタミンEの効用をはるかに凌ぐということで、とりわけ注目を浴びています。


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