肌と心と体の健康増進に包接トコトリエノール

真のスーパービタミンEの機能性アップで高まる効果

寺尾 啓二 著 2012.11.27 発行
ISBN 978-4-89295-817-5 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


ストレス耐性を強化し寿命を延長

肌と心と体の健康増進に包接トコトリエノール

線虫の寿命延長を確認
脂溶性物質をγCD包接体にして経口投与する「γCD法」を用いることで、線虫(Caenorhabditis elegans)への被験物質の経口投与が容易となり、寿命延長効果の厳密な試験が可能となりました。
線虫を使用するのは、症例を増やせる、全ゲノムが解明され、ヒトと似た部分が多い、延命効果の試験が短期間で済む(ヒトや動物では不可能)などの利点があるからです。
T3類似体別、すなわち、α―T3、γ―T3、および、δ―T3のγCD包接体を作製し、それぞれのγCD包接体を線虫に投与した際の寿命に及ぼす影響について検討しましたところ、左上のグラフに示すとおり、コントロール群と比較して全ての包接体群で有意に寿命は延長しましたが、その寿命延長効果はδ―T3のγCD包接体群が最も高いことが分かりました。
また、α―TPはT3の効果を阻害すると前述しましたように(前頁下のグラフ)、T3とα―TPを同量混合し投与した群では、有意な寿命延長は見られませんでした。




ストレス耐性が向上した
野生体に比べ長寿命である、線虫の長寿変異体はさまざまなストレス耐性を示すため、寿命とストレス耐性との関連が指摘されています。
そこで、生物的ストレスとしてサルモネラ、レジオネラ、物理的ストレスとして高温(三五℃)、UV(紫外線)、化学的ストレスとしてパラコート、過酸化水素、銅イオンに対するT3の影響も調べてみました。
試験の詳細は省略しますが、寿命延長効果はサルモネラ、高温、パラコートでは見られず、一方、レジオネラ、UV、過酸化水素、銅イオンではその効果が見られ、ストレス耐性の向上が認められました。
こうしたストレス耐性向上の仕組みを検証する試験も行ないました。
転写遺伝子DAF―16は上流のシグナルにより、通常は核内に移行できず、シグナルが低下すると移行して生体防御遺伝子の発現を促し、寿命延長につながるといわれます。
そこで、線虫のdaf―16遺伝子変異体にT3を投与したところ、有意な寿命延長は見られませんでした。
この結果から、T3はDAF―16の上流部分のDAF―2経路を介さずに、直接DAF―16に働きかける可能性があり、DAF―16が活性化されることで生体防御遺伝子の転写が促進され、各種ストレス耐性が向上したと考えられます。









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