肌と心と体の健康増進に包接トコトリエノール

真のスーパービタミンEの機能性アップで高まる効果

寺尾 啓二 著 2012.11.27 発行
ISBN 978-4-89295-817-5 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


包接化は最先端のナノテクノロジー

肌と心と体の健康増進に包接トコトリエノール

ナノサイズの極小カップ
シクロデキストリン(cyclodextrin 以下CDとも)は、トウモロコシなどのデンプンにCD生成酵素を作用させて得られる環状オリゴ糖です。ブドウ糖が環状に結合した、まるで底なしカップのような構造をし、天然にも存在します。
ブドウ糖の数が六、七、八個のものをそれぞれα、β、γCDと呼び、その空洞の内径は、最大のγCDでも〇・九〜一・〇nm(ナノメートル=一〇億分の一メートル)と分子と同等のサイズです。しかも、その外側は親水性、内側は疎水性という特異な性質を持っています。
この疎水性空洞内に、いろいろな分子(ゲスト分子と呼ぶ)を取りこむ現象を「包接」といい、分子を取りこんだ状態のCDを「包接体」と呼びます。

包接化が生み出す多様な機能性
ゲスト分子の包接化により、多種多様な機能性が生まれてきます。代表的なものをあげておきます。

・安定化…光、熱、酸化、加水分解などに対して安定化させる。
・徐放…香料などの有用成分を徐々に放出する。
・生体利用能(バイオアベイラビリティ)の向上…有効成分の分子間力を断ち切り、分子レベルで効率よく生体内へ移行させる。
・水への可溶化、分散化…水に溶けにくい物質を水に溶解させたり、分散させたりする。
・マスキング…嫌な臭いや味などを改善する。
・粉末化…気体、液体の取扱いを容易にする。
・吸湿性、潮解性防止…物質が空気中の水分を取り込んで水溶液になる潮解性や、吸湿性を防止する。
・粘度調整…粘度の高い物質の分子間力を断ち切り、粘度を下げる。

現在、こうした機能性は、食品・化粧品・生活用品・医農薬品などといった実に幅広い分野で生かされ、私たちの健康や美容、生活に役立つ種々の製品が次々と生み出されています。CDの機能性が発揮されるのはナノサイズの世界であり、まさに包接化は最先端のナノテクノロジーといえるでしょう。






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