細胞強化のパワー源コエンザイムQ10

心臓強化、免疫力強化、美肌づくり、ダイエットに

矢澤 一良 著 2002.09.28 発行
ISBN 4-89295-429-2 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


心臓を元気にする強い味方

細胞強化のパワー源コエンザイムQ10

コエンザイムQ10不足は心臓直撃
からだのなかでコエンザイムQ10を最も多く必要としているのが心臓です。
心臓は、全身の細胞に酸素と栄養を届けるために、四六時中、休むことなく、毎日一〇万回も収縮と弛緩を繰り返しながら血液を送り出しています。
この膨大なエネルギーを確保するうえで、コエンザイムQ10の存在が欠かせないのです。
ですから、コエンザイムQ10が不足したとき、まっさきに大きなダメージを受けるのも、また心臓です。
事実、アメリカで行なわれた複数の研究で、心臓病の患者さんの七五%が、健康な人にくらべて、心臓中のコエンザイムQ10が極端に不足した状態にあることが明らかにされています。

効果を示す研究データ
コエンザイムQ10の不足が、心臓を弱める重大な要因になっているのであれば、コエンザイムQ10を積極的にとることが、心臓を元気にする決め手になるはずです。
たとえば、ネズミにコエンザイムQ10を投与した実験では、投与前は毎分二〇回程度だった心拍数が、投与直後、九〇回に跳ね上がったと報告されています。
また、試験管内の実験では、コエンザイムQ10は心筋の拍動を増強すると同時に、その拍動リズムを安定させる働きもあることが、日本の研究者によって明らかにされています。

「うっ血性心不全」との闘いに最適
コエンザイムQ10の有効性は、人を対象にした研究でも立証されています。とくに「うっ血性心不全」に対して、コエンザイムQ10は大きな成果をあげています。
うっ血性心不全は、高血圧や心臓発作、老化などが原因で、心臓の筋肉が弱り、ポンプ機能が衰えていく病気です。
もともと欧米の中高年者に多い病気で、いつとはなしに息切れ、むくみ、疲労感、尿の減少をきたすようになり、そのまま放っておくと最終的には心臓が衰弱して止まってしまいます。つまり、生命に関わる恐ろしい病気なのです。
このうっ血性心不全に対して、通常、強心剤(ジキタリスなど)や利尿剤などがよく使われますが、コエンザイムQ10も、大変有効な治療薬の一つです。
日本でも、三〇年近く前からその薬が医療現場で使われてきたことは、前にのべたとおりです。

イタリアの試験で七割以上の改善率
ここではイタリアで行なわれた臨床試験を紹介しましょう。
試験では、うっ血性心不全で、半年以上治療を受けている二六四四名の患者さんに、通常の薬物療法に加え、三ヵ月にわたって毎日コエンザイムQ10をとってもらっています。
その結果、異常な発汗、むくみ、動悸、めまいなどを訴えていた患者さんの七割以上に、症状の改善が認められました(左ページ図)。また、症状が三つ以上なくなった患者さんも、半数以上にのぼったそうです。
これとは別に、アメリカの研究者も、コエンザイムQ10の投与で、中高年のうっ血性心不全の患者さんの四分の三に、顕著な病状の改善がみられたことを報告しています。

動脈硬化に基づく心臓病にも
さらに、コエンザイムQ10の抗酸化作用は、動脈硬化の抑制に役立つことから、動脈硬化に基づく虚血性心疾患(心筋梗塞など)に対しても有効性が期待できると考えられます。
実際に、心筋梗塞や糖尿病による不整脈に効果があった事例が報告されています。
このほか、左心室不全症状をもつ一九七名の患者さんに2〜4週間、コエンザイムQ10を投与した研究では、軽度の患者さんで、狭心症状や肝腫脹をはじめとする症状全般に改善がみられています。

心臓病の人はまず担当医に相談を
自分では健康だと思っていても、心臓の働きが低下している場合はあります。
動悸・息切れがしたり、疲れやすい、足や顔がむくむ、冷えるなどの症状に心あたりのある人は、ぜひコエンザイムQ10を試してみるといいでしょう。
いっぽう、すでに心臓に何らかのトラブルを抱えている人は、利用する前に、まず担当医に相談してください。心臓の専門医であれば、コエンザイムQ10のことはよく知っているはずです。





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